【第六話】「運命の着信。静まり返った工場で」
その日は、工場の大型設備の定期メンテナンス作業に入っていた。 頭の中は機械の図面でいっぱいのはずなのに、ポケットに入れたスマートフォンの重みばかりが気になってしまう。
事前審査を提出してから、今日で3日目。 「結果が出たら、すぐにご連絡します」というアークプランの担当者の言葉が、耳の奥で何度もリフレインしていた。
鳴り響くバイブレーション
午後2時。休憩に入った直後、作業着のポケットが激しく震えた。 表示されたのは、アークプランの担当者の名前。
心臓が口から飛び出しそうになるのを抑え、僕は工場の裏手にある静かな倉庫へと駆け込んだ。
「……はい、〇〇です」 声が上擦っているのが自分でもわかった。
「〇〇さん、お疲れ様です!アークプランです」 電話越しの担当者の声は、いつもより少しトーンが高い。
「……結果、出たんですか?」
「はい。先ほど銀行の担当者から連絡がありました。〇〇さんの住宅ローン……」
一瞬の間が、永遠のように感じられた。
「満額で、事前承認が降りました!おめでとうございます!」

崩れ落ちそうになる膝
「えっ……本当ですか? あの『異動』の文字があっても……通ったんですか?」
「はい! 完済後の期間と、今の会社での整備士としての実績、そして何より私たちが提出した『今後の支払い計画書』を高く評価してくれました。銀行の担当者も『これだけしっかりしたライフプランがあるなら安心だ』と言ってくれましたよ」
膝から力が抜け、僕は近くのドラム缶に背を預けた。 ネットの書き込みでは「絶対に無理」と切り捨てられていた僕の人生が、プロの手によって、たった数日で「承認」へと書き換えられたのだ。
世帯年収600万円。過去の過ち。 それらすべてを包み込んで、アークプランは僕の背中を押し、銀行の門をこじ開けてくれた。

隠し事のない「家づくり」へ
「〇〇さん、これで準備は整いました。次は……奥様に本当のことを話す番ですね。これだけの結果があれば、きっと奥様も驚きつつも、喜んでくださるはずです」
担当者の言葉に、僕は強く頷いた。 これまでは「無理かもしれない」という恐怖から、妻の夢を遠ざけてきた。 けれど今は違う。僕には、彼女の夢を叶える「資格」があるんだ。
その夜、僕はリビングでパンフレットを眺めている妻の隣に座った。 「ねえ、ちょっと話があるんだ」
「え、何? もしかして、アークプランのお家、やっぱり無理そう?」 不安そうにこちらを見る妻。僕は深呼吸をして、彼女の手を優しく握った。
「違うんだ。……実はね、ずっと言えなかったことがあって……」
第七話 への予告
「未来への設計図。家族三人で描く、新しい暮らし。」 ついに明かされた真実。涙を流した妻が、最後に見せた笑顔。そして建築家と共に作り上げた、世界に一つだけの「デザイン住宅」がついに完成します。
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